大豆加工のQ&A-よくあるご質問
Q1.油揚げが伸びない原因はなんでしょうか? Q2.新穀大豆と旧穀大豆で吸水速度(浸漬時間)が違うのはなぜ? Q3.豆腐の甘みが出てこないのですが… |
お客様から寄せられるよくあるご質問をご紹介します。
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Q1.油揚げが伸びない原因はなんでしょうか?
A.油揚げの伸びの要因は色々(大豆原料の要因、生地及び生地の作り方の要因、揚げ条件等)あります。
以下の要因により、油揚げの伸びは異なってきます。
1)大豆原料の質の影響
油揚げの伸びはタンパク質の割合に関係し、特に水溶性タンパク質が多ければ、油揚げの伸びは大きくなる傾向にあります。
大豆の水溶性タンパク質は保管状況により、時間経過と共に不溶性タンパクに変化し、伸びに必要な水溶性タンパク質量が減ってしまいます。
そのため、旧穀大豆は新穀大豆に比べて伸びが悪い傾向にあります。
2)水質(pH)での影響
油揚げの生地において、pH が低い(pH4~6)と生地中のタンパク質間の結合数が増え、分子間の結びつきが強くなります。
これにより油で揚げる際に伸びが悪くなります。
3)豆乳製造時の加熱温度及び時間の影響
豆乳を作る際に、加熱温度が高すぎる(「ご」の適温90℃。100℃付近では温度は高すぎる)、もしくは加熱時間が長くなるほど、伸びは悪くなります。
これは、生地中のタンパク質の分子間の結びつきが強くなり(タンパク質の熱変性が進み過ぎ)、揚げの際に伸びる力を抑制する為です。
4)空気量の影響
油揚げの生地を作る際に、生地の中の空気量により油揚げの伸びが異なります。空気量が多いほど、揚げる際に温和な突沸が生地中で起こり、
水蒸気による気泡の膨張を促進させて、油揚げの伸びは良くなります。
しかし、豆乳中に含まれる空気は加熱によって次第に減少する為、適温到達後の豆乳の加熱時間を短くするか、加熱後直ぐに冷却をする事が重要です。
また、減少した空気は水を加える(または、エアーを加える)ことで事で補うことができ、伸びを回復をすることができます。
5)揚げ温度の影響
低温部(伸ばし)の揚げ温度は110℃から120℃が標準です。
温度が低いと伸びるまで時間が長く掛かかり、伸びやすい傾向になりますが、内部組織が不均一になることと、油を吸いすぎる欠点があります。
逆に、温度が高いと(125℃以上)伸びが悪く、硬くなります。
6)その他の影響
油揚げを作る実際の現場では、季節の変わり目に伸びが変わることが多くあります。
これは、水温変動による大豆浸漬具合の変化や外気温の変化により、にがりを入れた際の豆乳中のタンパク質間の結びつきが変化するためです。
(一般的に、水温、気温が下がると大豆の浸漬時間を長くする必要があります。)
Q2.新穀大豆と旧穀大豆で吸水速度(浸漬時間)が違うのはなぜ?
A.大豆は古くなると吸水速度が若干速くなります。
大豆の表皮は、クチクラ層(汚れが大豆内に入るのを防ぐ)で覆われています。
大豆を浸漬する際、通常、水は大豆の珠孔とクチクラ層に存在するミクロの穴から浸水(主に珠孔から浸水)していきます。
ところが、旧穀大豆は大豆表面のクチクラ層が時間の経過や衝撃によって亀裂が生じる為、そこから水が浸水し、吸水速度が速くなるのです。
*吸水テストをして浸漬時間を設定することが望ましいです。
Q3.豆腐の甘みが出てこないのですが…
A.大豆は、糖分として下記の成分を含みます。
●大豆に含まれる糖分
糖分 | 含有量(乾燥大豆中) | 甘みの強さ(甘味度) |
ショ糖 | 6~7% | 1 |
スタキオース | 3~4% | 0.3 |
ラフィノース | 1% | 0.2 |
デンプン | 0.5% | - |
ショ糖は水溶性ですので、豆乳に溶け出ます。そのため、ショ糖が多い大豆を使った方が、甘みの強い豆乳及び豆腐を作ることが可能です。
一般的には、北で育つ大豆の方が甘みが強い傾向があります。一方、糖分が多い大豆はタンパク質が少なく、豆腐に加工しづらい傾向があります。
豆腐の種類から見ると、木綿豆腐は水を絞る工程があるため、水と共にショ糖も溶け出ていきます。また、人の味覚の観点から、 なめらかな口当たりの方が味を感じやすいため、絹豆腐や充填豆腐の方が甘みを感じやすい豆腐が作れます。